前のコラム(NO.105)で、東北大学 加齢医学研究所 所長の川島隆太教授の幼稚園協会での講演録をダイジェストにして書いたのだが、調べてみたら、ほぼ同じ内容の本が昨年(2017年)に出版されていた。
前コラムの内容+αが、より詳しいデータを示しながら分かりやすく書かれているので興味がある方は読んでみるとよいと思う。が、実はこの本で特筆すべきは「はじめに」という前書きである。—「これからみなさんを恐るべきホラーの世界にお連れします。」「私たち大人がつくってしまった現代社会は、子どもの脳の健全な発達を妨害する落とし穴だらけ」「うわっ! こわっ!」これが私の正直な感想です。そして重大な事実を知ってしまった者の務めとして子ども達を救うため、なんとか多くの人に伝えなくては、そんな使命感でいっぱいです。みなさんのごく当たり前の日常の中に、子どもの努力を無にする、恐ろしく強い力をもった落とし穴がいくつかあることが、科学的に証明されてきました。ある落とし穴は、経済優先の社会の中核と深くかかわっているので、実際ここに大きな落とし穴があると叫ぶ私たちの声は見事に黙殺されました。それにも負けず、私が大きな声で何度も叫ぶので、友人の中には冗談ではなく本当に私の命の心配をしてくれる人までいます。—
何年か前から、しらさぎ幼稚園では子育てをする親子の現代日本の社会状況を「雨」に例え、主に入園説明会で「雨が降っているのに親子でTシャツ一枚で外遊びをしている」状態とお伝えしてきた。そのためのレインコートや傘が「絵本の読み聞かせ」であると…。しらさぎでは雨。川島教授はホラー。より状況を詳しく知る人の表現がきっと適切なのだろう。そして川島教授はこの本の160ページで「今すぐ絶対やるべきこと」として、「幼児には読み聞かせ」–幼い頃の読み聞かせは子どもの心を育て、親の脳を活性化する–と書いている。故矢嶌 文夫名誉園長は生前「脳トレなどで有名な川島隆太教授辺りが、早く読み聞かせの効果を実証してくれないかなー」と言っていたが、やっとそれが叶ったということだ。(今度園の近くにある矢嶌先生のお墓に参る時にはこの本を持っていこう。) また、川島教授の足元にも及ばないが、このことを少しでも多くの人に伝えていきたいと思う。多分私の命は狙われないだろうから。