s_60747-15月…風薫る季節です。

風は爽やか。空は青く澄み、外に出掛けるには良い季節です。特に前半にはゴールデンウイークもあり、色々な所にお出かけになる方も多いかと思います。

当園の近くには、首都圏最大の緑地空間として知られる見沼田んぼがあります。私が少年だった頃は、その名の通り一面の「田んぼ」でしたが、時代の移り変わりと共に「田んぼ」は姿を消し、どちらかというと植木の畑が多くなってきました。が、現在でも緑地空間としての自然は保たれており様々な動物達が生息しています。実際見たことがあるのは、
イタチ・タヌキ・ノウサギ・キジなどですが、特にキジは良く目にします。ツガイで居ることが多く、オスのキジの羽の綺麗さは見事です。タヌキに似ているハクビシンも実は朝の園庭で見たことがあり、良くも悪くも生息域が拡がって来ているようですね。
それはそうと、園名の由来となっている「シラサギ」ですが私が少年の頃(4~50年前)位には、今の「一代元」というラーメン屋さんの辺りは「野田の鷺山」という観光地で、東京から「はとバス」とかも来ていました。「鷺山タワー」という展望台があり、営巣期にはそれに登ると近くの木々は真っ白に見える程サギたちが居ました。近くに住む人によれば、そういう時期には、服にサギの糞が付かないよう傘をさして歩いたという程だったそうです。
しかし、それから程なく段々とサギ達は姿を消し、今では殆ど見られなくなりました。
「鷺山タワー」もしばらく放置されていましたが、その後撤去されました……。
何が原因かは、はっきり特定されていませんが、農薬の散布による餌の減少等の理由が上げられています。確かに、昔の少年の夏休みは早朝の野山に虫捕り網を持って出かける事から始まったりしていたのですが、「明日はヘリコプターで薬を撒くから朝の田んぼには行ってはいけない」と言われたことが何回かありました。蛙・ドジョウ・虫達もそれにやられてしまったのでしょう。それらが減れば、餌にしている鷺もいなくならざるをえません。
江戸時代、徳川将軍も見分したという記録もある「野田の鷺山」。そんなに長い間あったサンクチュアリも、現代の僅かな期間で滅ぶのです。我々はこういった事をしっかりとらえ、これからの自然というものへの関わりを考えていく必要があるでしょう。また、子ども達には、無上の喜びを与えてくれる自然の中でたっぷりと遊んでもらうことが、何より自然を大切にする観念の育成に役立つと思われます。自分に「楽しさ」を与えてくれるものを、粗末にする人は居ないと思いますので……。
(幼稚園だより H28.5月号より) *写真「しらさぎ」田中徳太郎・講談社刊 表紙より