「クシュラの奇跡」(のら書店 刊)という本がある。

著者はドロシー・バトラー。
到底無事には育たないだろうと思われる程、各種・重度の障害をもって生まれたクシュラに熱心に絵本を読み聞かせた結果、奇跡と言えるほどの回復と成長を見せ、その後自立生活も営むようになったというドキュメンタリーである。故矢嶌文夫名誉園長はこの本を敬愛していた。

そして、同じ著者による
「子ども・本・家族」(のら書店 刊)。

不勉強でこちらの本は最近入手したが、その中に矢嶌名誉園長が構築した当園の教育によって目指す子ども・人間像そのものが記されていたので紹介する。

責任感が強く、ユーモアにあふれ、ものごとに打ち込める人間、親しい者たちを熱意をもって慈しみ、そのほかすべての者たちを思いやりをもって慈しむような、気概ある人間」

そして、そのためとして

「すべての幼い子どもたちに本を土台とした暮らしを、という運動をひろげていかねばなりません。
その結果、質のよいユーモアと積極的なエネルギーをもって世界に立ち向かう力が高まるでしょう。
本を土台とした暮らしは、はかりしれないほど大きな効果をもたらすでしょう。
このような信念をもつ人々の側に、私も与する決意です。
なぜなら本は、人生のあらゆる局面に入りこめるからです。
本の力は偶発的なものではありません。本の力は広範囲にしみわたります。
人生の枝葉ではなく、根っこにまで達します。

–略–

子どもは頭の中で物語の文章にそいつつ、物語の世界を想像し、創造していきますが、これには大変な努力がいるのです。
けれど子どもの頭は、その努力を可能にするすばらしい能力をそなえています。
けれどももし、ごく幼い時期に、努力をする機会をあたえられなければ、伸びるべき力も低下し、十代になったころにはまったく失われてしまうかもしれません。
わが子がそうなるのを望む親はいないでしょう。」

と述べられている。
正にこの通り。
これからも、このことを肝に銘じ、全職員で努力をしていく所存である。