s_この本読んで2016夏
7月といえば夏本番。と思いきや例年前半は梅雨の影響で曇りや雨の日が続き、夏空が広がるのは中旬を過ぎてからになることが多いようです。また水源地に雨が少ないと今冬の小雪に起因する水不足が解消されないのでこれも困りますね……。
話は変わりますが、(一社)出版文化産業振興財団発行の「この本読んで!」という雑誌があり、(実は創刊間もない頃、当園が取材されたこともあったのですが)この最新号(夏号)の特集は「生誕100年 瀬田貞二のまいた種」でした。
「瀬田貞二」という名前でピンと来た方は、結構な絵本通かと思います。瀬田さんは東京の本郷生まれですが、30代から逝去されるまで旧浦和市に住まわれ、同じく旧浦和橋近くに住んでいた児童文学者の石井桃子さんと共にさいたま市にゆかりの深い方です。
瀬田さんが関わった本の中でもポピュラーなものと言えば、「三びきのやぎのがらがらどん」でしょう。この絵本の原作はノルウェーの昔話です。原作では小中大の三びきのやぎが橋を渡る音を、Trip trap!という語のみで表現していますが「かたこと かたこと」「がたごと がたごと」「がたん ごとん がたん ごとん」と変化をつけて訳して子どもの心をつかみ、日本語訳の方が本国の絵本の発行部数を上回るなどの現象を生んでいます。また、映画化され数多くのアカデミー賞に輝いた「ロード・オブ・ザ・リング」や「ナルニア国物語」の翻訳も手がけたり、創作では林 明子さんと「きょうはなんのひ?」で「えほんにっぽん賞」を受賞しています。
そして前任の矢嶌文夫名誉園長ですが、小学校勤務時代に瀬田さんのご子息を担任するという縁に恵まれ、絵本・子どもの本・その役割について直接レクチャーを受けました。
矢嶌園長から聞いた話に、ある日瀬田さんから「今度日本の児童文学の歴史を変えるかもしれない本を出すよ。いやいやえんという本なんだが……。」ということもありました。
瀬田さんの遺した言葉で、とても意味深い言葉があります。
「子どもの本にかかわる人は、うんと大人で、うんと子どもでなくちゃいけない」
我々はこの言葉の意味を深く噛みしめながら、日々の保育にあたりたいと思います。
もうすぐ夏休み。一生を支え続ける本や、体験に子ども達が出会えますように……。

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