6月…梅雨。文字通り「雨」の季節です。
人間にとっては、洗濯物が乾かなかったり、カビが生えたりしてうっとうしい日々が続きますが、植物や虫たち、それらを育む自然環境にとっては、雨はなくてはならぬ天の恵みです。
自然といえば、去る5/16(土)園の教員達と一緒に北本市にある埼玉県自然学習センターを訪れ、「保育士・幼稚園教諭のための自然体験講座」を受講してきました。
その講義の最初、4枚の風景写真が提示され、この中で「自然が豊か」だと思う写真を当ててくださいというクイズが出されました。その写真は、1.一面に芝桜が綺麗に咲いている公園2.緑豊かなゴルフ場 3.植林された杉林と伐採された斜面 4.田んぼ でした。私は、強いて言えば4番の田んぼかなと思いましたが、答えは、これらは全て人の手が加わった生物多様性に欠ける場所であり、特に貧しいのは農薬を多用するゴルフ場とのことでした。
その後は実際に自然学習センター内にある里山に移動し、林の中を歩きながらレクチャーを受けました。知識不足だったり、意識が向かない者にとっては何もなく、おまけに嫌な虫もいる空間ですが、指導員の方のレクチャーによって、色々と遊べたり、素晴らしい触感や匂いの草花があったり、キジなど、野鳥の声を聞いたりしながら進んでいくうちに、特に若い教諭達の里山に対する意識が「何もないものから、実は豊かなもの」へと変わっていったようでした。そして何よりも、そこに生えている木々が雨によってもたらされた水分をうまく調整しながら放出し、実にすがすがしい空間を生み出していることを感じてくださいと言われ、その通りのことを多くの者が実感できた時、ここに来てよかったなと思いました。
我々日本人は、古来より周囲の自然と共存し共に生きてきました。山川草木全ての中に神を見出し、畏敬の念を持ちながら大切にするという観念です。これらは西洋の、自然を「征服する」という概念とは大分違います。スタジオジブリの宮崎 駿監督は、このことを映画「もののけ姫」の中で描きました。
四季のはっきりした、湿潤で豊かな日本の自然。また、それらに対する畏敬の念。そういったことを特に若い教諭や、無論未来を担う子ども達にも、何らかの形で伝えていければと常々考えています。(園だよりH27.6月号より)