今日からもう七月。今年も半分過ぎたなということを実感します。そして七月といえば七夕です。

しらさぎ幼稚園では、毎年「七夕会」という行事を行っています。あらかじめ園児達に七夕飾りを作っておいてもらい、園至近の竹山から真竹を十本切り出してきて、各クラスに計九本、ホールに一本を飾り付けます。短冊には、各自が願いごとを書いたり、書いてもらったりして飾り付けますが、それを読むと毎年中々面白いです。七月七日当日は、ホールに全園児が集まって七夕の話のスライドを見たりして過ごすのですが、その際、園長である私からは、毎年同じ「宿題」を出しています。

それは、
「自分の目で、実際の天の川を見る」

ことです。期限は無期限。できれば大人になるまでに。

この文を読んでいる皆さん。あなたはどうですか。見たことがおありでしょうか?やってみると解るのですが、簡単なようでいて、特に夏の関東地方では難しいことでしょう。夜が明る過ぎるのと、空気が澄んでいないからと思います。以前結構熱心に登山をしていた頃、標高三千メートルの北アルプスのテント場でも、そんなに明瞭に見えないことがありました。気象状況など、運もかなり関係します。

初めて、これが「天の川」か……。と思ったのは、学生時代に北海道でキャンプ生活をしていた時です。最初は薄い雲と思いましたが、よく見るとそれらが小さい星々の集合体で、雲ではないということが解った時には正直驚きました。やはり周りに何も無く、空気が澄んでいる所ではこのように見えるのだなということを実感しました。そしてその時、数秒間ですが辺りが昼のように明るくなる程の光の玉が出現して燃え尽き、それが「大火球」という隕石になる一歩手前の天体現象であるということも天文部だった人から聞いて知りました。

この宿題を出してから十年以上経ちますが、中学生になった卒園児から「宿題ができたよ」という年賀状をもらったことがあります。テクノロジーが進み、バーチャルリアリティやCGで何でも見れる世の中となってきていますが、このような体験をする時に吸う「空気」はそれらにとって代わることはできません。また、その場所に到達するまでの「過程」や、「時間」も。できれば大人になる前に、そのようなものに対する感性を磨いたり、身に着けられると良いなと思います。それがある意味、本来の自然の教育でしょうから。そして国際的には、北欧では「森の幼稚園」。北米では夏休み期間の本格的な野外体験プログラムなどとなって実施されています。

先日年少児に音楽教室でリトミックを行ったところ、「海」というものに対し、今一歩イメージが湧かない子が多かったとの報告を受けました。「海」「山」「川」「森」。どれも実際のその場の体験が一番。

このような社会状況下では、中々難しいとは思いますが、折角の夏休み、できれば人や業者にお膳立てしてもらったものではなく、それぞれのオリジナルな体験を子どもにさせ、一回り大きくなって二学期を迎えてもらえれば、絵本と共に「自然からもらえるもの」を大切にしているこの園としてはとてもありがたいことです。

 

(ようちえんだよりR3.7月号の一部を修正したものです)