11/2は、園保護者会主催の「子育て教室」(講演会)。
講師は児童文学者の斎藤惇夫さんをお招きした。

斎藤さんをお呼びするのはこれで4回目。定期的にお話ししてもらうのは、やはりここが「絵本」「読み聞かせ」で成り立っている幼稚園だから。絵本については、一言で言えば良質な絵本を沢山読んであげることが子どもの健やかな成長には、必要不可欠ということなのだが、お話をしてもらう度に深刻度を増すのが、子どもへのメディアの影響。何回か前までは「テレビ・テレビゲーム・DVD視聴を少なくしましょう。」だったのが、今ではスマホでのオンラインゲームやユーチューブ視聴も加わり、中にはベビーカーの赤ちゃんにスマホやタブレットを見せている人まで出現してきて、末オソロシイ世の中となっている。斎藤さんのお話の中で、日本小児科医会の方々がそういった啓蒙をされているということで、改めてそのホームページを見てみたら、何年か前に見たときにはなかった「子どもメディア委員会」というものが立ち上げられ、専用のページまでできていた。

「良質な絵本」という話の中で、斎藤さんは銀座にある「ナルニア国」という書店を紹介されていた。「ここは、本当に良質な子ども向けの書籍しか扱っていない」という言葉で。

実は、今夏(2018.夏)やはり銀座の松屋で開催された、絵本作家・林明子の原画展に出掛けた際、すぐに近くにある「ナルニア国」に恥ずかしながら初めて行ってみたのだが、販売されている本のレベルの高さに驚愕し、林明子展の倍以上の時間を過ごしてしまった。斎藤さんが、一番に推薦するのも本当に納得がいくものである。

そして講演は終わり、参加者からの質問の時間となった。
ある年中児のお母さんが、「ビロードのうさき」という絵本を私が好きで、娘に読み聞かせたところ泣き出してしまったのですが早かったのでしょうか。と質問されていた。
斎藤さんは、あ、「ビロードうさぎ」石井桃子さん訳の名作ですね。私も「スーホの白い馬」を息子に読んでやった時、同様な経験をしました。もう少し後の方がよかったのかもしれませんね。と返答されていた。

正直に種明かしをしてしまうと「ビロードのうさき」は、年長児へ3月に読んでやる本である。それも正確に言えば、園長が全年長児に。わざわざ確かめなかったのだが、もしかしたら斎藤さんは、石井桃子さん版の方(写真一番上)(童話館出版)を思い浮かべたのかもしれない。が、園長が読んでやるのは酒井駒子/絵・抄訳(写真中)(ブロンズ新社)の方である。「の」があるかないかの違いがあるので質問者のお母さんの読んだ本も酒井駒子版かもしれない。また、年長の3月に園長が読むことが決まっている本はもう一つあって「くまとやまねこ」湯本香樹実/文 酒井駒子/絵(河出書房新社)である。(それぞれを隔年で交互に読んでいる。)

どちらにも共通するのが、「人前で読み上げるのが困難な本」だということだ。(これは実際に読んでもらえれば解る)そしてとても素敵な酒井駒子の絵。
でも思うのは、年長の3月、卒園前に読んでも、あまりよく解らない子もいるのに(それは別に悪いことではないが)年中児の段階で泣いてしまう程物語を理解し、入り込める感受性を持っているということは素晴らしいということだ。
また、他に質問をされた方々も、実際に絵本・読み聞かせに日々取組んでいるからこそ出てくる質問が多くあり、大変喜ばしいことだと思った。
何しろ、しらさぎ幼稚園は絵本の読み聞かせの普及のために存在しているのであるから。もしかしたら天上から、この講演会を見ていたかもしれない故矢嶌文夫名誉園長も、草葉の陰でさぞ喜んでいることと思う。

 

お願い:しらさぎ幼稚園の保護者の方は、できれば上の2冊のどちらかが年長の3月に読まれるということをお子さんには内緒にしておいてください。(笑)